出世と転職と起業の狭間で揺れながら過ごした20代後半。
次の転職先が決まり、すったもんだで最終的に現職に残ったのが30歳のとき。
その時は自覚できなかったが、今振り返るとわかった「人生の3つの真実」を紹介する。
【人生の真実①】転職活動は「自己肯定感」を得るためだった
20代後半から、先の人生について不安を覚えたり、何となく悩み事が増えたりしませんか。
私も新卒で入社した会社に勤めて5年ほどたったころ、そんな漠然とした不安を抱えたまま過ごしていました。
自分はこのまま社内で出世の道を進むのか、転職して環境を変えた新たなチャレンジをするのか、はたまた思い切って起業して自らの可能性を開拓するのか。
社内で出世して収入を増やしていくにはどんなハードルがあるのか、何となくわかります。
転職してこれまでとまったく違う環境に身を置いて生き生きと働く、そんな想像を働かせながら転職サイトに登録してみたり。
「起業」の響きはカッコいいけど、そもそも起業ってどうやってやるの?というレベルでただぼんやりと成功を収める自分の姿をイメージしてみては時間だけが過ぎていく…。
結局、私は転職活動に身を投じて銀座にオフィスを構えるわりと有名な起業の内定を掴んだわけですが、それから社内での強い慰留を受けて、様々に悩んだ末に内定を辞退して現職に留まることを選択しました。
振り返ると、この転職活動で得られたのはある種の「自己肯定感」です。
「自分にはまだ市場価値がある」
「もっと大きなステージで戦える」
といった、自分自身を鼓舞するような要素が大きかったと思います。
そして、有名企業の内定を得られたという時点で、転職活動の目的は果たしてしまっていたのでしょう。
そのまま転職していても、果たして全力で新しいチャレンジに取り組めていたかと言うと、ちょっとわかりません。
つまり、転職の「その後」を考えた上での転職活動にならなければ、それは転職活動と言えない…ということを学びました。
【人生の真実②】自分がほしいものは、自ら動いてみないとわからない
「果たして自分は何者なのか」
「どんなことに人生をかけたいのか」
いわゆる「自分探し」は特に20代後半の若者がやりがちです。
しかし、自分が望むものは、頭の中だけで考えていても出てきません。
自ら体を動かす過程で得られるものです。
しかも、それは「本当の自分」などではなく、その時に自分がほしい答えを都合よく解釈しているだけなのです。
自ら動き続けることで「自分が望む通過点」をそのときどきで見つけ、マイルストーンとしていくのだと思います。
【人生の真実③】結局、人は「誰かに必要とされたい」
自ら動き、答えの一つとして「転職」を選択した私ですが、最終的には転職をせずに会社に留まることを選択しました。
単に会社から慰留を受けたから、とか安直な理由ではなく、残るまでの過程ではいろんな条件交渉などあったわけですが、そのあたりの詳しい話はまた別の機会に。
ここで得られた一つの真実とは、「人は誰かに必要とされたい」という当たり前の真実です。
転職先から内定をいただけたということは、その企業からは「あなたを必要としています」というメッセージをいただけたということ。
一方で、現職の会社からも強く慰留されたということは、やはりこちらも「あなたが必要です。辞めてもらっては困ります」ということです。
非常にありがたい話ですが、ここで残留という選択肢を取ったのは、やはり「必要とされる度合い」が、現職の方が強くより具体的だったからです。
よくよく考えてみると当たり前の比較なんですね。
転職先の企業からすると、「具体的にどんな成果を残せるかはわからないけれど、きっと活躍してくれるはず!」という期待値。
現職からは「あなたのこういう能力を買っている。このまま会社で活躍してくれたらこういうキャリアアップができる。そして周りにはこんな味方がいる」という具体的な期待値。
二つを比較したときに、自分自身どちらがイメージを描けるかというと、当然後者になります。
転職を考えるからには現状に何かしらの不満があって、それを変えるために転職活動をするわけですが、現職でその不満の解消方法が具体的に提示されると、転職する理由がなくなっていくわけです。
「何かしら」なんてレベルではなく、「圧倒的な不満」が転職の理由の一つであれば、ちょっと強く慰留されたくらいじゃビクともしないかもしれませんし、そういうケースはむしろ勇気を持って転職してしまったほうがハッピーなのかもしれません。
しかし、私の場合は違ったということです。
少なからず会社のこれからに期待し、何より「誰かに必要とされたい」という潜在的な欲求が強く満たされる選択肢を選んだということなのでしょう。
30歳の転職活動を振り返ってわかったこれら3つの「人生の真実」は、また歳を重ねていくと違ったかたちの真実として理解が異なるのかもしれませんね。